2004-10-01 [長年日記]
λ. Reading for Pleasure (2)
acceptされた。思ったよりもハードそうだが、卒業かかってるのでがんばらねば。
λ. トレーニング
興味本位で予約してみた授業だけど、けっこう面白いかも。
λ. 今日の向井研
「"First Steps in Modal Logic" (Sally Popkorn) を読む」とシラバスに書いてある時点で新人は来ないなと思ってたけど、やはり新人は来なかった。
【追記】 http://projecteuclid.org/euclid.jsl/1183745095 に、Rajeev Goré 氏による書評がある。
λ. 夕食
「カナルの台所」というイタリアンのお店。湘南台駅からは少し離れてるけど、安くて美味しかった。
2004-10-05 [長年日記]
λ. 『女子大生会計士の事件簿』, 山田 真哉
を読んだ。ビジネス小説のノリではなくて、「<会計>の面白さや<監査>のスリリングさを知ってもらいたい」という目標で書かれた小説で、明るくて楽しそうな会計監査の現場を舞台に、天真爛漫な女性公認会計士と弱気な青年会計士補が活躍する。小説としてはいまいちだったけど、この著者の目標は達していると思うし、十分に楽しめた。
2004-10-06 [長年日記]
λ. SM診断
chikoにっき(2004-10-06) で見かけたのでやってみた。どうやら僕の心にはサディストが潜在してるらしいですよ(笑)。
あなたの心には「サディスト」が潜在しております
あなたはご自分が「サディスト」であるという事をうすうす感じているか、「マゾヒスト」だと思ってませんか?あなたは「サディスト」の心を生まれもっております。あなたと共にする運命の「マゾヒスト」との出会い、それがあなたの潜在する心を開花する時でしょう。
- 詳細
- サディスト度・67%
- あなたの「SMライフ」
- ★あなたは「本当のSM」に興味を持つでしょう。「支配と服従」について色々調べてみては・・・
- あなたの理想の「奴隷」のイニシャルは
- 「D」・「I」・「N」・「S」・「Z」さんです
そういえば、以前に「高確率で分かる! あなたのサディズム&マゾヒズム度」ってのを試したときには、マゾだと言われたな。
λ. Re: 東京は土地の値段が高すぎるね
東京の地価は確かに高いです。ですが、それがどうして「発展が頭打ちになってる」(実際どうなのかは知らないけど)ことと繋がるのかがわかりません。地価が高いのは、土地から得られる将来収入の割引現在価値がそれだけ大きい、つまり東京が発展した都市であり生産性が高いからと考えるのが自然だと思います。それがどうして……あ、「限界生産性が逓減している」みたいな意味で「発展が頭打ちになってる」って事なんだろうか。それならわりと納得できるかも。
また、仮に首都機能を移転することで東京の機能を破壊し生産性を低下させたとします。そうすれば確かに東京の地価は下がるでしょう。ですが、それが本当に東京や日本全体の発展に繋がるものなのでしょうか?
ψ super-onigiri [はじめまして。そうですね、「発展が頭打ち」と書いたのは「人・土地などリソースの利用効率が悪い」というような意味です。..]
2004-10-14 [長年日記]
λ. 杉原千畝は素晴らしいと思うが……
(『The story of Chiune Sugihara: Visas for 6000 Lives』への感想をIRCから転載)
杉原千畝が発行したビザにより多くのユダヤ人が救われたという話は、日本人 であれば一度は耳にしたことがあるだろう。私も杉原千畝の事を始めて知った ときには感動したし、自らの信念を貫き通し多くの命を救った彼を、同じ日本 人としてとても誇りに思っている。ただ、残念ながらこの本にはあまり感動す ることが出来なかった。何故ならば、この本の記述は客観性を欠いていると思 えてしまったからである。
たとえば、「In the old days Jewish people had all lived in their own land, the Hebrew Kingdom. In 70 A.D., however, the kingdom fell, and they lost their homeland.」とあるが、この記述はミスリードを狙っている としか思えなかった。
ユダヤ人とは一般に「母親がユダヤ人であるかユダヤ教に改宗した人」のこと を指すのだ。ヘブライ王国の時代にはほとんどのユダヤ人は当然そこで生活し ていただろう。だが、現在のユダヤ人のすべてがその子孫というわけではない のである。例えば8世紀にはトルコ系民族のハザール汗国で大規模なユダヤ教 への改宗があったし、セム族が白人系ではなかったにも関わらず現在のユダヤ 人に白人系が多いことからも明らかであろう。
さらに、当時の国際情勢について深く触れずに日本とドイツを一方的に悪とす る単純な歴史観に基づいて書かれているのも非常に不愉快であった。このよう な態度は歴史から何も学ばないに等しいと私は思っている。私はこの本を人に 薦めようとは思わない。
それはそうと、ナチスによって辛酸を味わったユダヤ人たちが、今パレスチナ の地で行なっていることを思うと、人類の業の深さを感じずにはいられない。 もし杉原千畝が生きていたらどう思っただろうか。
- Quotation
- "Nothing is so precious as life." (p.36)
- Excellent Translation
- 「命ほど大切なものなど、何も無い」
- Explanation
- 杉原千畝が常に語っていた言葉。普通の人が言っても陳腐な言葉と思うだけか も知れない。だが、自分のキャリアそして命すら危機にさらしながら困難に耐 え多くの命を救った杉原千畝の言葉と思うと、重みを感じずにはいられないの だ。
2004-10-15 [長年日記]
λ. もう一つの転換点
(『Black Jack』への感想をIRCから転載)
この本は手塚治虫の「ブラックジャック」から「医者はどこだ!」「春一番」 「アリの足」の3編を英訳したものである。ブラックジャックとは手塚治の生 み出したキャラクターで、法外な報酬を要求する無免許の天才外科医である。 一見冷酷な悪徳医者に見えるが、それは彼のほんの一面に過ぎない。
ところで、この3編の中で私が一番気に入ったのは「アリの足」である。 あらすじは「小児マヒで足が不自由な少年・光男は、病気の苦しみを訴えるた め、一人で広島から大阪までを歩き通す旅にでる。その途中、光男は自分の後 を付回すブラックジャックに気付く。ブラックジャックを悪徳医者と思ってい る光男は反発するが、実は……」というもので、ブラックジャックなりの思い やりや優しさというものを感じさせてくれる話である。
この話は小学生の頃にも日本語で読んだことがあって、粗筋は大体覚えていた のだが、当然以前に読んだときとはだいぶ違う印象を受けた。以前は気づかな かったが、山火事が起きて煙が迫っている状況でのブラックジャックと光男の やりとりが、この作品において非常に重要な位置を占めているように感じたの である。以下に引用しよう。
“Can I give you a ride?” said Black Jack from the car.
“No, I won't ride with you!”
“Then, you'd better crawl on your hands and knees.”
“What! Don't ridicule me!” cried out Mitsuo, but car drove away.
これまでブラックジャックを軽蔑していた光男が、命欲しさににブラックジャッ クにすがるかどうか試すかのように、声をかけるブラックジャック。当然のよ うに反発し助けを拒絶する光男。その態度に自分と似たものを感じ満足したの か、光男を嘲笑うふりをして、ぶっきらぼうな態度でさり気なく手を貸すブラッ クジャック。
光男が真実を知りブラックジャックに対する感情を変えるシーンはまだ先で、 そのシーンが物語の最も盛り上がるところであるのだが、この二人の心理の変 化がこの作品の主題であるならば、ブラックジャックの光男への感情が転換点 となったこのシーンは隠れたもう一つの転換点だったのではないか。
それにしても、ぶっきらぼうな態度でさり気なく手を貸すあたりが、いかにも ブラックジャックらしいと感じた。このクールな優しさがブラックジャックの 魅力の一つといえよう。
- Quotation
-
“Can I give you a ride?” said Black Jack from the car.
“No, I won't ride with you!”
“Then, you'd better crawl on your hands and knees.”
“What! Don't ridicule me!” cried out Mitsuo, but car drove away. - Excellent Translation
-
「乗せてやろうか?」 ブラックジャックが車から声をかけた。
「いやだね。お前の車になんか乗りたくもない」
「なら、四つん這いで這ってでもいくがいいね」
「な!? あざ笑うのはよせ!」 光男は叫んだが、車は走り去った。 - Explanation
- 山火事が起きて煙が迫っている状況でのブラックジャックと光男のやりとり。
2004-10-21 [長年日記]
λ. Re: D言語の記事
「covariantの返り値タイプ」はこの文脈だと「サブクラスでメソッドをオーバーライドする際に、返り値の型を(もとのメソッドの返り値のクラスの)サブクラスに変更出来る」ってことでしょう。たしかC++もサポートしていたはず。(C++は「contravariantな引数タイプ」の方はサポートしてなかったけど、Dもそうなのかな?)
「C言語コードへの直接アクセス」は「extern(C)」って書けるって事でしょうね。(呼び出し規約の話というよりは、名前のマングリング等を含めた話だと思います)
「複素数と虚数」はCもC99なら直接サポートしてたはず。
それにしても、D言語は良い言語なんだろうなとは思うのだけど、better C++ としては、C/C++を使う機会が減りつつある今いまいち食指が伸びないんだよなぁ……
2004-10-25 [長年日記]
λ. 『インビジブルハート—恋におちた経済学者』, ラッセル・ロバーツ (Russell Roberts) [著], 沢崎 冬日 [訳]
を読んだ。この本はおすすめ。
2004-10-29 [長年日記]
λ. 「進化論」の起源
(『The Origin of a Theory —ダーウィンとその時代』の感想をIRCから転載)
この本は専門用語なども多く、私には少々難しい本だったが、とても面白かった。
この洒落たタイトル“The Origin Of a Theory”はもちろんダーウィンの著書 “The Origin Of a Species”のもじりであり、進化論の誕生と進化を、生物 のそれになぞらえて、ダーウィンを中心として描いている。
我々が科学を学校等で学ぶとき、学びやすく整理された形で学んでいる。しか し、当たり前だが、科学は学校で学ぶような形で発展してきたのではない。進 化論もまた例外ではない。生物が神によっていきなり今ある姿で造られたので ないのと同様に、進化論もいきなり今ある姿で誕生したのではないのだ。
進化論のダーウィン以前の一つの起源はダーウィンの祖父エラズマス・ダーウィ ンの『動物論』、ラマルクの理論(獲得形質居伝説)などに求められる。そして、 ダーウィンはビーグル号の航海に博物学者として同行した際の観察と、近代地 質学の父とよばれるライエルの地質学等から、理論の着想を得た。また、マル サスの『人口論』にも触発されていたそうであり、この点には意外であり非常 に驚かされた。その点について本書では以下のように書かれており、印象に残っ た。なおここでのheとはダーウィンのことである。
"One may say", he now concluded, “there is a force like a hundred wedges trying [to] force every kind of adapted structure into the gaps in the economy of nature, or rather forming gaps by thrusting out weaker ones.” This idea of a “struggle for existence” was not new; it had been present in the wrigings of Malthus, Paley, Lyell, the Swiss botanist Augustin de Candolle (1778-1841) and others.
ところで、アイディアが最初に登場するときには荒削りであり、そして試行錯 誤があり、整理され、やがて我々の知る形になっていくと私が考えている。ダー ウィンの進化論もまさにそうして生まれたのである。彼の理論には批判も多かっ たし、宗教的な攻撃を受けることもしばしばであったが、結局のところ「生き 残った」。そして、生き残ることが出来る理論は、現実を最もよく説明する理 論、言い換えればもっとも「現実」に適応した理論だけなのであろう。今日ダー ウィンの理論が修正され洗練されつつも生き残っているのは、それが現実を最 もよく説明するからであろう。このことを考えると私はとても愉快だ。
それはそうと、この本の著者はドーキンスが好きなようで、「まえがき」にも 参考文献にもドーキンスの著書が挙がっている。ドーキンスが稀代のサイエン スライタであることは誰もが認めるところだろうが、この話題でグールドが触 れられていないのは、個人的には少々納得がいかないところである。そこで、 私からは『ドーキンス対グールド 適者生存の戦い』(原題: “Dawkins vs. Gould : Survival of the Fittest”)を薦めておきたい。
- Quotation
- Although Darwin did not, and could not, have caused such a major change single-handedly, he will always stand for the transformation and enrichment of man's understanding of his place in nature.
- Excellent Translation
- ダーウィンはこれほど大きな変革を一人でしたわけでも一人で出来たわけでもないが、常に自然の中での人間の位置づけの認識の変化と強化の象徴であるだろう。
- Explanation
- 本書の結びのことば。結局のところ、進化論が最もインパクトを与えたのは、自然の中での人間の位置づけに関する認識だったのだ。
2004-10-30 [長年日記]
λ. The Village of Headless Knight
人狼BBSと同様のゲームで、システムは若干異なるものの、画面構成と雰囲気は人狼BBSに非常に近い。現在βテスト中だそうです。最近、人狼BBSの方のサーバーがだいぶ重くなってしまってますし、次はこっちに参加するかも。
- The Village of Headless Knightとは
欧米のパーティゲーム「汝は人狼なりや?」をベースとした 人狼BBS を参考に制作されたゲームです。
ここはある辺境の村。かつて戦争の最中に殺戮に狂った騎士達の首をはねて殺した過去をもつこの村では、首なし騎士の亡霊が自分の首を探して蘇るという言い伝えがある。そして今、その言い伝えが現実に・・・
あなたが村人なら魔物[首なし騎士]を見つけ出し退治しましょう。もしあなたが首なし騎士であったら、、村人を騙し村を滅ぼしてしまいましょう!
ここは村人達と首なし騎士のかけひきを楽しめるBBS(掲示板)です。人狼BBSさんを元にしていますのでノリがブラックなのはご了承ください。
2004-10-31 [長年日記]
λ. A155 幻の村
に参加していましたが、ようやく決着が付きました。残念ながら私は途中で死んでしまい、あまり勝負に貢献することは出来なかったのですが、結果としては勝利でした。詳しい感想は忘れないうちにちゃんと書いておきたいなぁ……。
ψ 吉村 [をっ、水野先生の英語を履修ですか?]
ψ さかい [そうです。ひょっとして履修したことがあります?]
ψ 吉村 [3回も履修してしまいました。]
ψ さかい [おー。なんかオススメの本とかあったら今度紹介してください。]