2006-10-03 [長年日記]
λ. 従軍慰安婦問題「河野談話受け継ぐ」 安倍首相
衆参両院代表質問で共産党の志位和夫氏に従軍慰安婦問題に対する認識を問われ、安倍首相は「いわゆる従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、93年8月4日の河野官房長官談話を受け継いでいる」と述べたそうな。河野談話は正直どうかと思うが、まあ週末の中韓両国訪問を控えて両国への配慮を示したというところなんでしょうね。
ところで、ここのところ一部の野党やメディアは安倍政権の歴史認識について「何も語らないのは、極めて卑怯な発想だ」とか言っていたけど、別に積極的に語る必要もなかったのではないかと個人的には思っている。 中韓との歴史問題に関して言えば、歴史認識に左右される現実の外交問題(戦後補償問題等)は基本的に決着がついており、現在日本政府が歴史認識次第で何か積極的な政策をとるということは考えられないし。 もちろん、歴史問題を言い立ててくる中韓にどう対応していくかというのは重要なんだけど、これも別に歴史認識を明らかにすることありきというわけではない。歴史認識を語らないことを卑怯と言うのなら、歴史認識を語ることの必要性と利点を主張して欲しかった。
そんなこともあり、週末に首脳会談を控えたこの時期に、代表質問でこんな質問しているのはどうなんだろうと少し思った。歴史認識に関して安倍首相が中韓を刺激する意見を述べれば、せっかく漕ぎ着けた首脳会談をぶち壊してしまう可能性があるし、逆に中韓寄りの意見を述べれば、今後の安倍政権での外交の選択肢を狭めることになるかも知れない。いずれにしても日本の国益に資するとは思えないわけで……