トップ 最新 追記

日々の流転


2009-01-01 [長年日記]

λ. あけましておめでとうございます

旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。

まあ、今年もまた溜まったTODOを片付けているうちに、いつの間にか年が明けていたという感じで、あまり感慨も無いんだけどね。 ただ、昨年のまとめや今年の抱負を書いている人を見ると、見習わなくてはと思う。 後でちゃんと書こう……

λ. KAT-MLでの双模倣規則の証明

昨日の「クリーニ代数入門」の続き。 テストつきクリーニ代数のための対話的定理証明器KAT-MLというのを知ったので、早速試してみた。

KAT-ML is an interactive theorem prover for Kleene algebra with tests. The system is designed to reflect the natural style of reasoning with KAT that one finds in the literature. It is available for several platforms.

Windows版のパッケージとしてSML/NJ同梱版と別版があったので、同梱版の方をダウンロードしてくる。 Tcl/Tkで実装されたGUIがあるようだったけど、コマンドラインで使うだけならTcl/Tkは不要なようなので、Tcl/Tkのインストールはしなかった。 ファイルを展開してKAT-ML/Binにあるkat.cmdを実行すると、コマンドライン版が立ち上がる。

何を試そうか迷ったが、とりあえず双模倣規則「p;q = q;r ならば p*;q = q;r*」を証明してみた*1。 簡単かと思っていたら結構大変だった。

*1 本当は二つの正規表現の等価性みたいなものにしようと思ったのだけど、良い例が思いつかなかった。


2009-01-02 [長年日記]

λ. 『iPod touch/iPhoneを楽しく使うためのハッキング』 武藤 佳恭

iPod touch/iPhoneを楽しく使うためのハッキング(武藤 佳恭)

naoeの日記 (2008-11-17) より。 iPod touch も iPhone も特に買う予定はないのだけど、直江さんが「日本語でOtterに関して述べられている初めての本のような気がする」と書いていたので、買ってみた。

Otterに関しては、iPodへの入れ方と、「正直者と嘘つき」と「組み合わせ回路の難問題」(参考: Otter で 3 not problem を解く - ヒビルテ(2008-07-18))を解かせる例が載っているだけで、使い方のちゃんとした説明等は載っていなかったので、ちょっと残念*1

全体としては、「それはちょっと……」と思う記述も結構とある*2が、iPod touch/iPhone で遊ぶためのとっかかりとしては良さそう。 iPod touch/iPhone、ちょっとだけ欲しくなってきた。

*1 個人的にはsos, usable, passive, demodulatorとかの使い分けが知りたかったので

*2 そういう記述も含めて武藤先生っぽくて、読んでて懐かしくなった。

λ. TAS スーパーマリオカート 150cc全カップ 21:27.02

ちょっwww これはひどいチート。

Tags: ネタ

λ. 新年会

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本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

ψ naoe [良くも悪くも武藤先生の本ですよねw iPod TouchのJail Breakに関してもこの前ラインアップがリニュ..]

ψ naoe [あ,ちなみに僕はこのOtter本まだ全然読んでいない素人ですw]

ψ naoe [何回もすみません... ファイルのおおもとはここみたいっす. http://www.lambda.ee/index..]

ψ さかい [ありがとうございます。 Otter本、読んでみたいと思います。 > Otterに関しては http://deept..]



2009-01-04 [長年日記]

λ. Cryptol, the language of cryptography

[Haskell-cafe] ANNOUNCE: Cryptol now freely available

Cryptol is a domain specific language for the design, implementation and verification of cryptographic algorithms, developed over the past decade by Galois for the United States National Security Agency. It has been used successfully in a number of projects, and is also in use at Rockwell Collins, Inc. Cryptol is implemented in Haskell.

Cryptolは暗号アルゴリズムの設計・実装・検証に用いるためのHaskell風DSLだとか。面白そう。

ビット列や行列等の操作が便利に行えるようになっているようだ。 それらを扱うための型があり、例えば8bitが2つ並んだものが3つ並んでいるという型は [3][2][8]Bit となる(最後のBitは省略可能)。 型の中に現れるサイズには定義済みの変数も使えるようだ。

以下は列の総和を計算する関数の例。 並列内包表記(ParallelListComp)を使ったHaskellとほぼ同じなのが分かる。

sum xs = last ys
  where
    ys = [0] # [| x + y || x <- xs || y <- ys |];

ホワイトペーパーにC言語が低レベル過ぎる例として載っていた以下の点はなるほどと思った。確かに暗号アルゴリズムを考えるときに、そういった細部は気にしたくはないものだ。

The code that implements 4-bit vectors will be radically different from the code that implements 48-bit vectors, and is usually forced to be highly dependent on conditional compilation constructs or awkward preprocessor macros.
Tags: haskell

2009-01-05 [長年日記]

λ. 今日の夢

朝起きたら、周りの時計の時間が全部狂っていて、しかも外も明るいのか暗いのか良くわからない天気だったので、時間がわからなくて困る。 ……という夢を見た。 朝起きれるかちょっと不安だったから見た夢なんだろうな。分かりやすい。 しかし、ストレスが溜まっているときには、変な夢を見てかつそれを覚えていることが多い気がするなぁ。


2009-01-06 [長年日記]

λ.Much Ado about Two: A Pearl on Parallel Prefix Computation” by Janis Voigtländer

POPL 2008メモ1日目 - sumiiの日記(2008-01-11) より。 積読消化。

結合的な二項演算 ⊕ と入力 x1, …, xn とから x1, x1⊕x2, …, x1⊕x2⊕…⊕xn を計算するのが parallel prefix computation。 で、多相的な parallel prefix computation の関数 (α→α→α)→[α]→α の実装の正しさは、αが3値のデータ型のときだけ確かめればOKという話。

パラメトリシティ(free theorem)から正しい実装(scanl1)と結果が等しくなることを証明していて、確かにちゃんと追いかけるとそうなっているんだけど、なんだか不思議な感じ。 あと、整数全体ではなくて3値で十分であることの証明が賢いなぁと思った。 他のアルゴリズムに対しても系統的にこういうことを言えるようになると楽しそうだなぁ。

Tags: 論文

2009-01-07 [長年日記]

λ. 初泳ぎ

今年初めて泳いできた。今日も30分弱で1km。 前に泳ぎに行ったのは2008-12-17なので、また三週間ぶり。 今年も定期的に泳いでいきたい。

λ.The Thermodynamics of Computation — a Review” by Charles H Bennett

以前にhiroki_fさんに紹介してもらった論文。 積読消化中。 後で書く。

Tags: 論文

2009-01-09 [長年日記]

λ. 新生銀行「実りの特別円定期」

1年前に住信SBIネット銀行の「円定期預金1年もの金利1.2%キャンペーン」で預けた定期預金が先日満期を迎えたので、新生銀行「実りの特別円定期」の一年もの年1.1%(税引き後 年0.88%)へと預けかえた。

金利だけなら、日本振興銀行の定期預金「黒字還元キャンペーン」の一年もの年1.3%(税引き後 年1.04%)の方が高いけれど、これは自動継続型で自分で手続きをしないと勝手に継続されてしまうタイプなのと、あと日本振興銀行の定期はすでに持っていたのでリスク分散も考えて今回はパス。

ところで、新生銀行も日本振興銀行も色々ヤバイという話はありながら、それでも預金保険をあてにして高金利の銀行に預金するのだから、モラルハザードだなぁと我ながらに思う。

Tags: money

2009-01-10 [長年日記]

λ. インデックス投資ナイト

インデックス投資ナイトに参加してきた。

大恐慌がやってきた!?それでも動じない「インデックス投資家」とは何者か? インデックス投資とは?彼らは何を考えどんな金融商品を買っているのか? このイベントでは著名インデックス投資ブロガーや専門家に集まっていただき、 投資観や人生観をたっぷりと語っていただきます。 こんな時期だからこそ、人生設計やお金の事をもう一度考えてみませんか。

このイベントのことは@niftyプレゼント情報で偶然知り、「へぇ、えんどうさん、こんなこともやってるんだ」と思ってプレゼントに応募したら、当選してしまったのだった。 えんどうさんが司会してたからというのもあるだけろうけど、雰囲気的にはLLとかと似てて、分野は違えどその分野内での位置づけは似たようなものなのかと思った。Lightnight Talk もあったけど、スピーカーはみんな真面目で、特にネタ発表とかはなかったのは少し残念。

出演者の中で知っているのが竹川美奈子さんだけだったので、他の出演者の話には新鮮な意見が多く、面白かった。 たとえば、山崎元さんの「為替リスクを外国株に割り当てるから、外債には投資しない」という話とか。

ただ、バランスファンドは竹川さんは擁護していたけど、全体の中では微妙な位置づけっぽかった。 売る側としても売りやすいし、売り子も客も馬鹿にしてるとか。 ベストではないけど、とりあえずやってみるものという位置づけで、本来は中身が分かる商品の方が良いという感じ。

現在の状況については、誰の話か忘れたが「去年の進行というのは日本の90年代を早送りしたような感じ」に「なるほど」と思った。 また、今は投資のいいタイミングになる可能性があるという意見は共通していたように思う。

これだけはやってはいけない:

山崎さん
アドバイスを貰った人から買ってはいけない。 銀行員の顔を見ないで使うのが銀行を使うコツ。 銀行でマトモなものを見たことがない。 風邪もうつされない。
竹川さん
商品選びから入るのは良くない。 期間・目的といった全体像から入って、アセットクラスを考えて、どの商品がいいかを考える。
内藤さん
利害関係がなくても考え方が間違っているひとも。 相場の上げ下げに考え方がぶれないような考えをもって、それを続けていくのが大事。
カンさん:
人の後追いをしていかない。 自分ひとりでも続けていく信念が大事。
イーノさん:
消極的な理由で投資信託を始めた。 (今から考えると)当時は良いものが無かったけど、アクティブとバランスに半々で、200万円全部つっこんだ。 結果、アクティブは強制償還になり、バランスは当時ITバブルで何故かIT銘柄たくさん入っていて、今はずいぶん下がってしまった。 わからないうちは小額で。でもやったほうが早く勉強できる。

質問:

海外ETFを買うのに、総合的に個人投資家にとってメリットのあるネット証券会社はどこか?

今は海外インデックスの過渡期なので、どこかに決める段階ではない。決めないほうがいい。複数の口座を持っている。

各社の問題:

  • 楽天証券はWeb画面のつくりが分かりにくい。
  • マネックス証券は投資信託の品揃えがつい最近他の証券に追いついたが、それまで良くなかった。ついでに海外ETFを初めてネット証券の中では安い。
  • SBI証券はコストはマネックスに負けて、品揃えは楽天に負けてる。

大事なのは、10年後も窓口として存在するのかで、SBI以外はどこが消えていてもおかしくない。3社に関しては手数料体系・品揃えだとか・特定口座にいれられるかとかサービスでまだ決めかねてる。 ただ、東証に海外ETFが並行上場されるようになったら、世界地図が塗り変わってしまうので、国内の動きもみつつ……。あくまで現在は過渡的な流通形態・現象で、完成系は国内の取引所での円建てでの流通。

伝統的アセットクラス以外を考えていて、グローバルリートについてお聞きしたい。
アセットクラスとしての不動産というのはあっても良いが、自分が要らない物件をリートで売るなど、リートは当初はかなり怪しいものだった。不動産にどういうリスクとリターンがあるのか分からない人が多いので、無理して持つ必要はない*1。 ただ、そろそろ面白くなってくる。 変なレバレッジのかかっていないものを探すことができれば面白い可能性はある。 「たまに八百長があるかも知れないけど、競馬は楽しい」という人向け。
結局のところセカンダリーマーケットでお金を左から右に動かしているだけではないのか?
何百年前は、資力があってあるいは資力を提供してもらって自力投資するしか、投資の方法はなかった。 それが、間接的に投資という作業を出来るようになったわけでこれはこれは素晴らしい事。だからこそ資本主義が発展してきた。 自力投資できるひとはセカンダリーマーケットにお金を費やす必要はないが、そうでない人も自信を持って良い。

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)(山崎 元) それから、ジャンケンに勝利して、山崎 元さんの著書「超簡単 お金の運用術」のサイン本を、頂いてしまいました。わーい。

イイノさんのアセットアロケーション分析、便利そうだと思った。

「投信ブロガーが選ぶFund of the Year 2008」の結果発表(c.f. rennyの備忘録 | 決定!投信ブロガーが選ぶFund of the Year 2008)では、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが3位が、バランスファンド微妙という雰囲気の割に健闘していて少し驚いた。 1位のSTAMグローバル株式インデックス・オープンは順当だったし、STAMインデックスシリーズの特別賞とあわせて、STAMすげーなと思った。

そういえば、隣に座っていた人がintelligent-investor.jpというサイトを運営している人で、The Dividend Growth Investment Strategy: How to Keep Your Retirement Income Doubling Every Five Years(Roxann Klugman)という本を薦めて貰った。

Tags: money

*1 リートはほとんど不動産会社の株と同じだった?

λ. セキュリティ&プログラミングキャンプ・キャラバン 湘南藤沢

セキュリティ&プログラミングキャンプ・キャラバン2008 キャラバン-湘南藤沢-*1 にも行けたら行きたいなぁと思っていたら、思いっきり寝過ごした。 原因は「うみねこのなく頃に Episode4 Alliance of the golden witch」で夜更かししてたこと…… orz

Tags: security
本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

ψ osiire [投資方法はそれぞれかと思いますが、どんな方法でもそれらが実現する(した)リスクとリターンをそれぞれX,Y軸に対応させ..]

ψ さかい [お久しぶりです。アドバイスありがとうございます。 私はまだまだ初心者なのですが、osiireさんは投資経験長そうです..]


2009-01-11 [長年日記]

λ. 第四十八回圏論勉強会

今日は圏論勉強会だった(写真)。

今回は、S. Abramsky "Temperley-Lieb algebra: From knot theory to logic and computation via quantum mechanics" の 7.3 Interpretation in Pivotal Categories で、前回導入した線形ラムダ計算の一種を pivotal category、特にテンパリー・リーブ圏 TL で解釈する。 今回でこのテキストは終わり。

関連

Tags: 圏論
本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

ψ たけを [あれ?画像が小さい。 間違って縮小されてしまったみたいなので、送りなおします。]

ψ さかい [差し替えておきましたー]

ψ oskimura [次回の圏論勉強会はid:nucさんを誘おうと思っています。]

ψ さかい [おぉ! ただ、次回のテキストはまだ決まっていないので、id:nucさんの興味に合うものになるかどうか……]


2009-01-12 [長年日記]

λ. iKnow!の「旅を楽しもう!(レストラン&ホテル)」を完了

iKnow!2008-12-19に始めたコース「旅を楽しもう!(レストラン&ホテル)」が終わった。

次は「旅をもっと楽しもう!(観光&買い物)」をやろうと思っていたけど、新年キャンペーンで「iKnow!でGabaマンツーマン英会話を体験してみよう」というのをやっているようなので、そっちをやることにする。 Gaba特製フレーズブック抽選プレゼントというのもあるみたいだし。

Tags: 英語

2009-01-13 [長年日記]

λ. 『地球温暖化論のウソとワナ』 (渡辺 正, 伊藤 公紀)

地球温暖化論のウソとワナ(渡辺 正/伊藤 公紀) 読了。 これは wrong, rogue and log : 解析数論で撃沈した夜の雑感 で知って読んでみたくなった本。 興味深い視点を提供してくれたとは思うが、ただこの種の本としてはちゃんとした参考文献一覧が無いのはどうかと思う。

  • 温暖化は本当に起こっているのか? 温暖化の根拠となる気温上昇のデータはかなり杜撰なもので、かつ近年の上方バイアスが存在する。
  • 温暖化が事実として、それはCO2の増加が原因なのか? 他に考慮すべき要因は多く、またグローバルなコンピュータモデルは誤差が大きい。
  • 温暖化の結果として報道されているものは、本当に温暖化の結果なのか? 実際には温暖化が原因ではないものや、他の要因によって説明可能なものが少なくない。
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2009-01-14 [長年日記]

λ. 『デッドライン—ソフト開発を成功に導く101の法則』 by Tom DeMarco

デッドライン―ソフト開発を成功に導く101の法則(トム デマルコ/Tom DeMarco/伊豆原 弓) 読了。デマルコの本はこの分野では非常に有名だと思うけど、これまで読んだこと無かった。読むのは初めてだったけどこれは面白いね。

この本は、主人公トムキンスが旧東側のモロビア共和国というところでソフトウェア開発プロジェクトを率いる物語で、その中で彼が学んだことが「101 の法則」としてまとめられている。 物語仕立てになっていることで、プロジェクトの運営に関する様々な要因と成功の鍵を、単に知るだけでなく納得することが出来るようになっている。 また、ユーモアと優しさにあふれていて、単に読み物としても楽しく読めるのが、素晴らしい。

これまでソフトウェア開発プロセスほげほげだとかソフトウェア工学だとかは、官僚的でかつ実態に即していない無意味な指標ばかりが踊っているという印象があったけど、こういった形で説明されて初めて、もともとは納得できる目的と意味があったのだなと感じた。結局、重要なのは手法そのものじゃなくて、その背景にあるこういった考え方なんだろうな。

そういえば、トムキンスという名前はガモフの『不思議の国のトムキンス』からだそうだけど、『不思議の国のトムキンス』は Simon Singh の Big Bang でも言及されてたな。 あと、NNLがいいキャラしてるなぁ。

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λ. 泳いできた

今日も帰りに泳いできた。 今日は調子が良く、1km泳ぐのに25分をきった。 今年通算で2km。


2009-01-15 [長年日記]

λ. 圏論屋さんに名前をつけさせるのはやめろってば

haskell-cafe の Comments from OCaml Hacker Brian Hurt というスレッドで、OCamlハッカーのBrian Hurt 氏のブログエントリー Random thoughts on Haskell が紹介されていたのだけど、その紹介で引用されていた部分が面白かったので以下に翻訳して引用する。

Haskellで悩ましい点のひとつに名前付けがある。 例えば、多くのデータ構造が上で説明した差分リストに似ているという共通のパターンに気づいたとする。 つまり、それらには空っぽの状態があって、末尾に何かを追加していくことができるわけだ。

そしたら、当然イディオムを一般的なパターンとして表現するHaskellの道具(この場合には型クラス)を使って、このパターンに名前をつけてやりたくなる。 どんな名前をつける? 僕は「Appendable」とかそういう名前をつけたくなる。 けど、違うんだ。Haskellはこのパターンを「モノイド」と呼んでる。 ああ、確かにすべてのモノイドは空の状態と末尾に追加できる能力を持ってる何かだ。

モナドはちょっとだけ一般化されているけど、モノイドと似たようなもものだ。 かつて、サイモン・ペイトンジョーンズは、Haskellの最大の過ちはモナドを「暖かいふわふわしたもの」ではなく「モナド」と呼んでしまったことだと言ってたことがある。 その上Haskellはこの間違いを悪化させている。 Haskell開発者諸君、もう category theorist に名前をつけさせるのはやめろってば。 頼むよ、お願いだから。

まあ、モナドはともかく、Arrow とか Applicative とか比較的新しい概念は、圏論由来の名前というよりは直観的な名前になっていると思うけど。


2009-01-16 [長年日記]

λ. 限界利益

管理会計で「売上高から変動費を引いたもの」を表す「限界利益」という概念があると聞いた。

これを聞いて、経済学等で一般的な「限界」(marginal)の用法から「生産量を一単位増やしたときの利益の増分」、すなわち限界収入(marginal revenue)*1から限界費用(marginal cost)*2を引いたものかと思ったのだけど、この意味以外でも使われているようだ。

具体的には、変動損益計算書等では総売上高から総変動費を引いたものを限界利益と呼んでいるっぽい。これは「限界」の通常の用法に合っていないので、誤用が広まってしまったものなのではないかと思うんだけど、どうなんだろうね。ちなみに英語だとこっちの概念は「Contribution」もしくは「Contribution Margin」らしく、その訳語として「貢献利益」という言葉も使われているようだ。こっちの言葉の方が混乱せずに済んでいいなぁ。

*1 生産量を一単位増やしたときの(総)収入の増分。(総)収入の微分。

*2 生産量を一単位増やしたときの(総)費用の増分。(総)費用の微分。

λ. 『L Change the world』

テレビでやっていたので観てみた。 デスノートの映画版を観るのは初めてで、松山ケンイチの演じるLは素晴らしいと思ったが、他は酷かった。 ストーリーは陳腐だし、LとKの心理戦・頭脳戦だとか駆け引き・騙しあいだとかを期待して見ていたら、それらは全く無いまま終わってしまって、ポカーンとしてしまった。 最後まで観てしまった事を後悔した。

Tags: 映画

2009-01-17 [長年日記]

λ. 『超簡単 お金の運用術』 by 山崎 元

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)(山崎 元) 先日のインデックス投資ナイトの際に頂いてしまったものを読み終わった。

この本は「極めて簡単だけれども、現実的にほぼベストに近くて、無難なお金の運用方法」として、当座の生活に必要なお金(生活費三か月分程度)を残して、残りは内外の株式に投資するETFに国内4割国外6割の比率で投資(リスクを取るのに気が進まない資金は個人向け国債かMRFに)し、大きな支出の必要が生じたらこれを躊躇無く部分解約するという方法を薦めている。

これだけなら「( ´_ゝ`)ふーん」という感じなんだけど、その根拠や背後にある考え方が非常に分かりやすく説明されていて、それがとても面白かった。 面白いと感じる部分は人によって違うとは思うが、個人的に面白かった箇所を少し紹介。

p.61

一般には、若い人は金融資産の中で大きな比率でリスクを取っていいように言われることがあるが、その正しい理由は「長期投資だとリスクが縮小するから」ではなくて、「人的資本を考えると、金融資産の運用で取るリスクが相対的に小さいから」なのだ。

pp.68-72

まず、リスクに対して十分な経済的備えがある限り、保険料を払うのは無駄だ。 〜中略〜 目下の結論として、民間の保険会社の医療保険には入る必要がない。 民間の医療保険でカバーされるような額なら、保険会社に高い手数料(厳密には付加保険料)を払わずに、自分で貯めて運用する方が合理的だ

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Tags: money

2009-01-19 [長年日記]

λ. 『効率が10倍アップする新・知的生産術—自分をグーグル化する方法』 勝間和代

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法(勝間 和代) 読了。というか、聴き終わった。

生産性向上に役立つヒントがたくさん載っている。そんなの常識じゃんと思うものも多いが、試してみようと思うものも幾つかはあったので、そういう意味では得るものはあったかなと思う。

あと、この本は紙の本ではなくFeBeのオーディオブックで聴いたのだけど、この手の本はオーディオブックで聴くにはちょっと微妙かな*1。 紙の本ならば1〜2時間くらいで読む分量だと思うのだけど、オーディオブックだと7時間もかかってしまうし、また、紹介されていたものを後で試そうと思っても、その部分を探すのが非常に大変だし。

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*1  そういえば、勝間さん自身も、別の本で日本語の本はオーディオブックよりも紙の本の方が良いと言っていたように思う。

λ. 今月のお菓子補充

[お菓子補充]

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2009-01-20 [長年日記]

λ. 掛け算の順番と単位について 〜 3個 × 50円/個 ≠ 150円 ?

今の小学校の算数では「50円のリンゴが3つあったときの総額」は「50×3」であって「3×50」ではないと教えているらしく、「3×50」と書くと間違いにされるという話を聞いて驚く。 自分が小学校のころにどう教わったかはもう忘れてしまったけれど、実数の掛け算は可換ということに馴染んでしまった今となっては、なんだか非常に不思議な感覚だ。 しかも、1998年の黒木のなんでも掲示板(0018)なんかでも、この話が出ていて、結構昔からある話のようだ。

まあ、真面目に考えても仕方がない問題だとは思うのだけど、どう考えればこの掛け算の順序に理由付け出来るのか気になり、ちょっと考え込んでしまった。 それで思ったのは、単位の代数セオリーが通常のアーベル群*1ではなくただの群になっているのではないかということ。 アーベル群だと演算が可換なので、α,βを単位として α・β-1 と β-1・α の区別をする必要はなく、どちらも単に α/β と書くことが出来る。 一方、ただの群だと α/β := α・β-1 と β\α := β-1・α は等しいとは限らず、区別をする必要がある。

で、掛け算は数と単位に関してそれぞれ積になっているとすると、50 円/個 × 3 個 = 150 (円/個)個となり、単位は (円/個)個 = 円個-1個 = 円 となるが、一方 3 個 × 50 円/個 は 150 個円/個 となり、個円/個 = 個円個-1 が円と等しいことは群のセオリーからは言えない。 うん、個人的には割と納得できるな。ただ、これだと 個\円 のような変な単位が出てきてしまい、それを使った 3 個 × 50 個\円 = 150 個(個\円) = 150 円 のような計算も出来てしまうけどね。

*1 例えば、MKS単位系はメートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)の三つの単位を生成元として生成される自由アーベル群。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

ψ yoshihiro503 [むしろ、右からの作用がある加群と思った方が自然かも。]

ψ 小熊善之 [算数教育における、四則演算教授上の一貫性を維持するのが目的かな、とか思った。]

ψ きしもと [1977年生まれが小学校の時ですが、長方形の面積は縦×横(逆だったか)とかいう「公式」を「正しくあてはめる」ことを要..]

ψ さかい [>yoshihiro503さん なるほど。私は複数の単位の扱いなどちょっと一般的に考えすぎてましたが、作用を使う考え..]

ψ 標準モデル [私もこのことに関してちょっとした激論が交わされてるのを見たことがあるんですが、そこで >小学校2年生の掛け算の文章..]

ψ さかい [標準モデルさん、ありがとうございます。 その理由には確かに、なるほどなと思いました。 それにしても、教育というのは難..]


2009-01-21 [長年日記]

λ. 泳いできた

今日も帰りに泳いできた。 今日は体調がいまいちだったけど、とりあえずゆっくり1kmは泳いだ。 今年累計3km。

誰でもラクに美しく泳げる カンタン・スイミング―効率的に泳ぐトータル・イマージョン(TI)スイム・メソッド(Terry Laughlin/竹内 慎司) あと、wrong, rogue and log : Top ten books of the year 2008 で気になった 誰でもラクに美しく泳げる カンタン・スイミング―効率的に泳ぐトータル・イマージョン(TI)スイム・メソッド(Terry Laughlin/竹内 慎司) を最近購入したので、ドリルを実践してみようかと思ったけど、なかなか感覚が良く分からない……

λ. 『論理学的に見た、ゲーム理論のプレイヤー』

第8回VCASIインフォーマルセミナー『論理学的に見た、ゲーム理論のプレイヤー』。 最初、「2009年1月20日(水)18時半から」と書いてあって水曜だと思い、行けそうだったら当日参加希望してみようと思っていたら、実は昨日の20日(火)だったので悲しかった。


2009-01-22 [長年日記]

λ. 初風邪

悪寒が酷い。これは風邪引いたな。12月にも酷い風邪を引いたばかりだったのでショックだ。 昨日、ちょっと喉の調子が悪かったのに、気にせず泳いでしまったのがまずかったか。 家に帰って暖かくしてたら38.5℃くらいまで体温が上昇。 一晩寝て直るといいなぁ。


2009-01-23 [長年日記]

λ. 初風邪 (2)

一晩寝ても直らなかった。ゆっくり休む。


2009-01-24 [長年日記]

λ. Obama's Inaugural Speech

今更ながら、Analyzing Obama's Inaugural Speech でオバマ新大統領の就任演説を聴く。 個人的に素晴らしいと思ったのは、以下のくだり。

Our challenges may be new, the instruments with which we meet them may be new. But those values upon which our success depends, honesty and hard work, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism — these things are old. These things are true. They have been the quiet force of progress throughout our history.

What is demanded then is a return to these truths. What is required of us now is a new era of responsibility — a recognition on the part of every American that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.

やはり期待よりも不安の方が大きく、とても熱狂する気にはなれないけど、オバマ氏がうまくやってくれる事を願っている。

あと、iKnowでもオバマ氏大統領就任演説:2009年1月20日というコースが出来ていたので、どうせなのでやってみることにした。

【追記】 Barack Obama Inaugural Address (1/20/09) | Audible.com でオーディオブックが無料で配られていた。スローにして聴きたい人には良いかも?

Tags: 時事 英語

2009-01-25 [長年日記]

λ. Google Notebook から Evernote へ乗り換えた

GoogleがDodgeball, Jaiku, Videoなどなどを切り捨て」と「Official Google Notebook Blog: Stopping development on Google Notebook」で Google Notebook の開発が中止されることを知り、ここ数日はどうしたものかと困っていたのだけど、EvernoteGoogle Notebook からのインポート機能が用意されたので早速乗り換えた。

移行作業では、Chrome で Google Notebook からの Atom でのエキスポートを行ったら、何故か iso-8859-1 のファイルになってしまい、その範囲外の文字がすべて「?」に化けてしまった。仕方ないので、Firefoxで試したところ、ちゃんと utf-8 のファイルとしてエキスポートすることが出来た。 また、Evernoteへのインポートは特に問題なく行うことが出来た。 (追記: ただ、メモの日付の情報はインポートした日付になってしまった)

Evernoteは昔ちょっと試したときには癖がありそうな気がしてたけど、今回まともに使い出してみて、これも悪くないという気がしてきた。

ところで、これまで Evernote でなく Google Notebook を使っていた一番の理由は、Google の方が事業継続の点で安心できそうという理由だったので、今回 Google Notebook の方が先に開発を停止してしまったのはなんだかちょっと皮肉な感じ。


2009-01-26 [長年日記]

λ. 『社長になる人のための経理の本』 by 岩田 康成

社長になる人のための経理の本 (日経ビジネス人文庫)(岩田 康成) 読了。昔、「企業会計論」という授業で勉強したこと(の一部)のよい復習になった。 授業では、やっぱり原理・原則から入っていく面がどうしてもあるけど、この本ではそうではなくて経営者の視点に特化していて、しかも登場人物がセミナーを受講して議論しているという形式が、非常にわかりやすかった。

ただ、この本は1996年に出版されたものにその後の経理・会計をめぐる動きを付け加えて2001年に出版されているのだけど、最後の「8. 会計ビッグバンを学ぶ」以外でキャッシュフロー計算書に触れられていない点など、今からすると少し古い印象を受ける部分もある。

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2009-01-27 [長年日記]

λ. 『ビートのディシプリン』 上遠野 浩平

読了。

ビートのディシプリン〈SIDE1〉 (電撃文庫)(上遠野 浩平/緒方 剛志) ビートのディシプリン〈SIDE2〉 (電撃文庫)(上遠野 浩平/緒方 剛志) ビートのディシプリン〈SIDE3〉 (電撃文庫)(上遠野 浩平/緒方 剛志) ビートのディシプリン〈SIDE4〉 (電撃文庫)(上遠野 浩平)

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2009-01-28 [長年日記]

λ. 風邪

体がだるくて、帰って熱を測ったら、また38.5℃くらいあった。 こないだ風邪ひいたばかりなのに……、もう嫌……

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

ψ osiire [うぉ、この時期は危険ですよね。大事になさってください。Blogなんて読んでないで寝ましょう :p]

ψ さかい [ありがとうございます。 この日は流石にBlog読んだりしてないですぐに寝ましたよん (^^; # 幸い一晩寝たら熱も..]


2009-01-31 [長年日記]

λ. Firefoxが起動しなくなった

Firefoxが「プロシージャエントリポイント ?InsertElementAt@nsVoidArray@@QAEHPAXH@Z がダイナミックリンクライブラリ xpcom.dll から見つかりませんでした」というよくわからないエラーで起動しなくなった。 再インストールしたら直ったみたいだが、はて……

firefox.exe - エントリポイントが見つかりません。: 
プロシージャエントリポイント ?InsertElementAt@nsVoidArray@@QAEHPAXH@Z がダイナミックリンクライブラリ xpcom.dll から見つかりませんでした。