2003-11-20 [長年日記]
λ. 『親日派のための弁明』 金 完燮 (김 완섭) 著. 荒木 和博, 荒木 信子 [訳]
読了。韓国で有害図書指定されて発禁になったと聞いていたから、どんな過激な事が書いてあるのかと内心期待していたのだけど、歴史認識に関してはそれほど驚くような記述はなかった。ちょっと拍子抜け。
Koreaという単語が「高麗」からきているというのもこの本ではじめて知ったし、いろいろと勉強にはなった。
ただ、現代の事に関する記述では「おいおい……」と思うような点が何箇所もある。たとえば p.134 - p.135 の
一九九七年、東アジアが経済危機に瀕し、新興開発国が経済恐慌におちいったとき、その四年前にこれを予見していたアメリカの経済学者ポール・クルーグマンは一躍スターになり、アジア諸国は白人の経済機構たるIMF(国際通貨基金)にあらゆる経済主権をわたしたまま、経済システムをアメリカ式に転換しなければならなかった。
しかし発想を逆転してみれば、当時ノーベル賞候補ナンバーワンといわれ、アメリカの経済政策にそうとうの影響力を行使していたクルーグマンが、東アジアはこれ以上発展できず、まもなく滅びるはずだとさんざんこき下ろすとまもなく、ジョージ・ソロス・ファンドをはじめとする国際投機資本の計略によって、東アジア諸国がつぎからつぎへと惨めな恐慌状態におちいることになったのは、果たして偶然の一致だったのだろうか。
といった記述とか。(参考: The Myth of Asia's Miracle, Whatever Happened to the Asian Miracle? / アジアの奇跡はどうなった?)
λ. libtool and impgen
libtool-1.5はimpgenを使わなくなっていたと思うので、libtoolのバージョンをあげてみるという手もあるかも。
λ. コンパイラの作り方 (詳解) (InternetArchive)
東大の「コンパイラ演習」の授業のレジュメ。印刷して読書中。SFCの「コンパイラ構成論」の授業では構文解析のアルゴリズムばかりがんばって教えているので、こういう授業がある東大が羨ましい。
closure conversion の導入くらいまで読んだ。ちょっとややこしいな。
あと、CPS変換は、いわゆる continuation semantics:
- 〚x〛ρ = λk.(k (ρ x))
- 〚λx.M〛ρ = λk.k (λν.λk'.〚M〛ρ[x ↦ ν] k')
- 〚E1 E2〛ρ = λk.〚E1〛ρ(λf.〚E2〛ρ(λa. f a k))
については知っていたけど、実用的には色々やらなくちゃいけないのね……
コンパイラっていうと、どうしても構文解析とか最適化になって、田浦さんのやつみたいなのって少ないですよね。そもそも、ソレ系の学科に行かない限り、Schemeのコンパイルなんてしないだろうし(コンパイラ自体も稀か)。<br><br>この文書は何度読んでも挫折。今度教えてください。
『親日派のための弁明』ですが、予備的知識として「国定韓国高等学校歴史教科書」(明石書店から翻訳出版されています)とか、「悲しい日本人(正・続・新)」(たま出版)なんぞを読んだ上で読むと、韓国人がこれだけのものを書けたことの重要さがわかると思います。内容よりも、その存在が重要な本です。<br>ドイツ、韓国と来たようですので、締めに米国の「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582764193">容赦なき戦争</a>」などをお奨めしておきます。ジョン・ダワーは小熊の尊敬する歴史家です、といえば興味も沸きますでしょうか?
ささださん、私も挫折しそうです。<br>むしろ私の方がささださんに教えてもらいたいくらいですよ (^^;<br># そういえば、RuchemeでもCPS変換とバイトコードコンパイルしてるんですよね?<br><br>それから、こんなの見つけました。<br> The Essence of Compiling with Continuations<br> http://citeseer.ist.psu.edu/flanagan93essence.html<br>まだ読んでませんが、中間表現として普通のCPSではなくて<br>A-Normal form というのを使うのかな……
『親日派のための弁明』が「内容よりも、その存在が重要な本」というのはまったく同感です。『国定韓国高等学校歴史教科書』は読んだことはないのですが、Amazonでのレビューで「資料に頼らない歴史学」とか凄いことが書かれいて唖然としました。<br><br>> ドイツ、韓国と来たようですので、締めに米国の「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582764193">容赦なき戦争</a>」などをお奨めしておきます。<br><br>どうもありがとうございます。<br>幸いSFCのメディアセンターにもあるようなので、<br>近いうちに読んでみたいと思います。<br><br>> ジョン・ダワーは小熊の尊敬する歴史家です、といえば興味も沸きますでしょうか? <br><br>それはもう興味がわきます (^^;