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日々の流転


2009-07-13 [長年日記]

λ. 『奇跡のリンゴ—「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録(石川 拓治/NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班) リンゴの無農薬栽培を実現した話。 リンゴの場合に無農薬栽培がこれほど難しいのだとは知らなかったし、それを実現した木村さんの苦闘の物語も面白かった。

ただ、話としては面白いのだけど、こういうのってどうしても素直に受け取れないんだよな。 「死ぬくらいなら、その前に一回はバカになってみたらいい」というけれど、バカになって失敗した人は取り上げられないだけで数多いるはずで、その差が何だったのかが明らかにされずに、単純に感動を前面に出されると、「単に、たまたまうまくいっただけじゃないの?」と思ってしまう。*1 「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組はあまり見たことないのだけど、「プロフェッショナル」という言葉を掲げるのなら、そこに切り込まないとと思った。

Quotation

p.126-127 より。

自分は農薬のかわりに、虫や病気を殺してくれる物質を探していただけのことなのだ。堆肥を施し、雑草を刈って、りんごの木を周囲の自然から切り離して栽培しようとしていた。りんごの木の命とは何かということを考えなかった。農薬を使わなくても、農薬を使っていたのと同じことだ。

病気や虫のせいで、りんごの木が弱ってしまったのだとばかり思っていた。それさえ排除できれば、りんごの木は健康を取り戻すのだと。

そうではない。虫や病気は、むしろ結果なのだ。

りんごの木が弱っていたから、虫や病気が大発生したのだ。

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*1 まあ、逆に、「たまたまうまくいった」ものに適当に理由をこじつけてあるだけ、というのも世の中には非常に多いんだけどさ