2008-09-22 [長年日記]
λ. QMLでの観測のSuperoperatorによる解釈
以下のような二つの関数を考える。
- Qid (b,qb) |- b :: qb
- Meas (b,qb) |- if b then qtrue else qfalse :: qb
前者は観測を伴わない恒等関数で、後者は観測を伴う関数。 この二つの関数を superoperator で解釈してみる。
QML> runS "test2.qml" "Qid" OK Super-op input = 1, Super-op output = 1, ([True,True],[True,True],1.0 :+ 0.0) ([True,False],[True,False],1.0 :+ 0.0) ([False,True],[False,True],1.0 :+ 0.0) ([False,False],[False,False],1.0 :+ 0.0) QML> runS "test2.qml" "Meas" OK Super-op input = 1, Super-op output = 1, ([True,True],[True,True],1.0 :+ 0.0) ([False,False],[False,False],1.0 :+ 0.0) QML>
ちゃんと違う結果になっている。
ついでに、例として、|φ〉 = (1/√2)(|0〉 + |1〉) に対応する密度行列 |φ〉〈φ| = (1/2)(|0〉〈0| + |0〉〈1| + |1〉〈0| + |1〉〈1|) にこれらの関数を適用してみると、Qidを適用した結果はこのままである一方、Measを適用した結果は Meas(|φ〉〈φ|) = (1/2)(|0〉〈0| + |1〉〈1|) になる。
というわけで、第四十四回圏論勉強会 - ヒビルテ (2008-09-14) で「観測の効果については(密度行列に対する)superoperatorを射とする圏にすればちゃんと圏の中で扱えるはず」と書いたが、たしかに観測による効果(の少なくとも一部)については圏の内部で扱えているようだ。