2008-09-14 [長年日記]
λ. 第四十四回圏論勉強会
Abramskyの"Temperley-Lieb algebra: From knot theory to logic and computation via quantum mechanics"を読む4回目で、今回は 5 Categorical Quantum Mechanics の後半、5.2 Quantum non-logic vs. quantum hyper-logic と 5.3 Remarks を読んだ。 前回が中途半端なところで終わったせいで、量子テレポーテーションについてそれぞれに調べたり考えたりしてたけど、今回はそれぞれの調べたことや理解を確認するという感じだった。
Abramskyらのここでの量子テレポーテーションの説明だと、bonotakeさんが 「Abramsky & Coecke の量子テレポーテーションがちょっとわかりかけてきた - たけをの日記@天竺から帰ってきたよ」で貼っていた以下の図のように、観測の効果と古典情報の通信が添え字の選択として暗黙的に扱われてしまっていて、圏の中できちんと扱われていない(それらが射として扱われていない)。
もっとも、観測の効果については(密度行列に対する)superoperatorを射とする圏にすればちゃんと圏の中で扱えるはず*1だし、檜山さんの「量子テレポーテーションの楽屋裏 - 檜山正幸のキマイラ飼育記」によると Bob Coecke, Duško Pavlović "Quantum measurements without sums" では古典チャンネルもちゃんと扱えているようなので、原理的な問題ではなくこの時点での説明の単純化のためだとは思うけど。 ただまあ、いろいろとズルい説明なのは確かで、どんな読者層が想定されているのかはちょっと気になるところ。
あと、密度行列と純粋状態・混合状態に関しては、通俗な理解を晒してしまい、ちと恥ずかしかった。 純粋状態と混合状態についてはhiroki_fさんが「純粋状態 混合状態について - hiroki_fの日記」で書いている。
それから、こないだ「飲み会」で書いたことに関係して、日下部さんに暗黒通信団の「K-theory入門」という本を紹介してもらった。 index theory についてhiroki_fさんに訊くのは忘れてしまった。
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*1 私はまだよく分かっていないけど