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日々の流転


2005-10-02 [長年日記]

λ. Codata, Thorsten Altenkirch

を見た。

guarded corecursion と guarded coinduction の定義は?

【2006-05-02追記】 guarded corecursion と guarded coinduction についてはInfinite Objects in Type TheoryGuarded Induction on Final Coalgebrasを見よ。

Tags: 論文

λ. 『遺伝子組換え作物—世界の飢餓とGM作物をめぐる論争』. Per Pinstrup-Andersen, Ebbe Shiøler (著) 沼 圭二, 貝沼 真美, 貝沼 恵美 (訳)

遺伝子組換え作物―世界の飢餓とGM作物をめぐる論争(パー ピンストラップ‐アンダーセン/エビー シオラー/Per Pinstrup‐Andersen/Ebbe Shioler/貝沼 圭二/貝沼 恵美/貝沼 真美)

遺伝子組み換え作物を考える上で我々が見落としがちなのは、それが農業生産性を向上させ、現実の食糧問題を改善する手段となるということである。技術的な点を論じることも重要だが、それを忘れてはいけない。遺伝子組み換え作物についてさ書かれた本は沢山あるが、食糧問題の点から書かれたのを読んだのは初めてであり、非常に興味深かった。オススメ。

現在では飢餓が話題になることは殆ど無いが、途上国などでは多くの人々が恒常的な栄養失調の状態にある。八億二千万の人々が毎日不十分で非常に少ない食料で生きていかざるを得ない状況にあるという。また六十億の世界人口のうち、五十億人の鉄分が欠乏しており、そのうち二十億人程度が貧血を患っているという。世界の飢餓がこれほど深刻だとこれまで知らなかったのは全く恥ずかしい。そして、世界の人口はまだまだ増加していくと予想されているのである。人口の増加と食習慣の変化により、世界の農家は2020年には1995年の穀物収穫量の40%増の収穫量を求められるいう。

ところで、現在の食料供給能力はマルサスの時代からすると大幅に向上している。その要因には、新たな土地を開拓することと、また品種改良、化学肥料、殺虫剤や除草剤等の農薬、灌漑等による単位面積当たりの収量の増加がある。だが、現在では農業に適した土地はもうあまり残っておらず、これ以上の開拓は環境の保全と両立しがたい。一方、化学肥料・農薬・灌漑による生産性の向上には限界がある。それらがいまだあまり活用されていないアフリカなどの地域では導入することで生産性を大きく向上を実現する余地があるが、既に活用されている地域ではそれらによる生産性を向上する余地は小さい。残るは品種改良だが、伝統的な育種による生産性の向上は鈍っており、過去20年間にわたって農業生産の成長率は低下しているという……

こうした状況下で、増大する食料需要に応えるにはどうしたら良いか? 生産性を向上させうる技術を総動員すべきではないだろうか。そして、もちろん遺伝子組み換え作物もその一つであり、しかもかなり有望である。無論(他の技術と同様)メリットとリスクは冷静に評価されなければならないが、食糧不足に縁のない先進国に住む我々が、遺伝子組み換え技術を安易に否定するべきではないだろう。それが根拠のない感情的なものであるなら尚更である。

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