2008-10-12 [長年日記]
λ. 第四十五回圏論勉強会
今日は圏論勉強会 だった。
今回は、6節 Planar Geometry of Interaction and the Temperley-Lieb Algebra からで、6.4節 The Temperley-Lieb Category の冒頭部分までを読んだ。 今回のメインは、ダイアグラムや平面性の数学的な定義で、これが非常に巧妙で感心した。 あと、involutionの訳語は「対合」らしい。
余談になるけど、線形写像の圏を考えるとnameは線形写像の行列表現、という檜山さんの話が面白かった。 私の理解を書く。 まず、A→B ⇔ I→BA ⇔ I→A*⊗B なので、線形写像 f : A→B は A*⊗B の要素とみなすことが出来る。 ここで、Aの基底を{ai}i, Bの基底を{bj}jとすると、A*⊗B は {ai*⊗bj}i,j を基底とする空間なので、A*⊗B の要素はこの基底の線型結合で表すことが出来、そのときの ai*⊗bj の係数を行列のj行i列目とすることで、行列として表すことが出来る。 また、ディラック記法を使うと ai*⊗bj は |bj〉〈ai| という ket-bra で書くことが出来、やっぱりちゃんと対応している。
二次会で少し口にした「短時間ならエントロピーが減少し得る」という話は、Decoding the Universe の p.51 で紹介されていた、Experimental Demonstration of Violations of the Second Law of Thermodynamics for Small Systems and Short Time Scales. G. M. Wang, E. M. Sevick, Emil Mittag, Debra J. Searles, and Denis J. Evans. Physical Review Letters 89 (2002) の話。
>nameは線形写像の行列表現<br>これはおもしろかったですね。酒井さんのブラケットの考察も面白かったです。<br><br>それとExperimental Demonstration of Violations of the Second Law of Thermodynamics for Small Systems and Short Time Scalesをざっと眺めてみました。実験とシュミレーションで結果をつき合わせているのですが、短い時間での観測は物理現象そのものに強く作用してしまうので、観測による効果を真剣に考えないといけません。また、シュミレーションで、何かデーターをとってきても、それが現象のどの程度の近似になっているかを詳細に考慮する必要があると思います。<br><br>このやり方ではエントロピーを減少するデーターが出てくるのかも知れないのですけれど、果たしてエントロピーとして相応しい量を見ているのかが疑問です。<br><br>シュミレーションについては「サイコロを振ったら少ない回数では連続で1が出たこともあったぞ。」というくらいの主張にしか思えません。
> name<br>もっと面白いのは行列の掛け算。普通、Hom(A, A)のcompositionから掛け算が出てくると思われているけど、それは行列を線形写像=射と思っての定式化。素朴な行列成分計算では、別に写像の合成なんて考えてないでしょ。Hom(1, A(X)A*)のほうで考えたら、素朴な計算が再現しますよ。