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日々の流転


2007-07-27 [長年日記]

λ. 空集合から空集合への関数空間 ∅

空集合から空集合への関数空間 ∅当然 {∅} だと思っていたのだが、論理と計算のしくみ(萩谷 昌己/西崎 真也) の問題の解答(p.245)には「∅ は定義されない」と書いてあった。

は定義されない(これは関数の定義にもよる.A から B への関数を A×B の部分集合と考えるならば,∅ = {∅} と考えることもできよう.しかし,A≠∅ ならば,A は一つの関数からなる集合であり,一方 ∅A=∅ でもあるので,これらの二つの場合が交錯する ∅ という式は,矛盾していると考えることも出来る).

この本では関数を「集合 A から集合 B への関数(function)とは,A の各要素に B の要素を与える対応のことである」としか定義しておらず、この定義では通常 ∅={∅} なのに、「これは関数の定義にもよる」と言われてもなぁ。 しかも、A≠∅ ならば A と ∅A は重ならないし(言いたいことはわからんでもないけど)。

それにしても、∅ を未定義とするというのは初めて見たのだが、これってどこかの分野の流儀なのだろうか? こうしてしまうと、 Set を圏にするときに hom(∅, ∅) をどうするかとか、色々と不都合があるように思うのだが……

論理と計算のしくみ(萩谷 昌己/西崎 真也)

【8/8追記】 sumiiの日記 - 0の0乗 の追記で知った*1のですが、<URL:http://nicosia.is.s.u-tokyo.ac.jp/pub/staff/hagiya/shikumi/errata.html> に訂正があって、∅={∅} に訂正されている。丁度、質問メールを書こうとしていた矢先だったのだけど、もし私の指摘が原因で訂正されたのだとしたらちょっと嬉しいなぁ。

*1 ありがとうございます、sumiiさん。

λ. Setoidの訳は亜集合?

帰りの電車の中でふと「Groupoidの訳語が『亜群』ならば、Setoidの訳語は『亜集合』なのだろうか?」と思ったのだけど、後で検索した限りではそのような訳語は使われていなかった。ちょっと残念。

Groupoid
射が全て同型射である(小さな)圏
Setoid
集合(Set)に同値関係を加えたもの。