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日々の流転


2010-06-26 [長年日記]

λ. 日常

今日は歯医者に行って、床屋に行って、それから数学基礎論講演会、CLTT読書会と、なかなか忙しかった。

λ. 第3回数学基礎論講演会「ゲーデルの定理 その後1」

題目
ゲーデルの定理 その後1
講師
田中 一之 (東北大学)
内容
この講演会は,同講師による数学基礎論入門シリーズの第3回です.今回と次回(秋予定)はゲーデルの不完全性定理のいろいろな証明について勉強します.

前回に続いて、田中先生の講演第三弾。今回も場所は東工大。 前半はほとんど雑談で、面白かったんだけど、配布資料にそのスライドが含まれていなかったのがちょっと残念。 あと、途中で抜けてCLTT読書会に行こうと思っていたが、雑談のやこれまでの繰り返しの部分が長くて、それはそれで面白いのだけど、なかなか聞きたい話に入らず、抜けるに抜けれなかった。

  • ルネ・マグリット(René François Ghislain Magritte)はエッシャー(Maurits Cornelis Escher)と同じ1898年に生まれ。エッシャーよりもむしろマグリットの絵の方が不完全性定理的ではないか。
  • こうした循環的な構図というのは昔からある。
  • ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck) 「アルノルフィーニ夫妻像」
  • シェークスピアと唯名論と劇中劇。当時の舞台では女性が演じるという慣習がなく、女性役も男性が演じていた。男性が女性を演じ、その女性役が劇中劇で男装し……
  • カントールはシェークスピアとベーコンが同一人物という論文を書いている。
  • 直観主義からの攻撃があったから、論理主義や形式主義がしっかりしたものになっていったという面もあるのではないか。
  • 無限の立場 (ルディ・ラッカー)
  • クロネッカーは自然数の絶対的実在性を主張。代数的数唯名論的存在、他は研究に値しない。
  • 集合論 vs アンチ集合論
  • 藤沢 利喜太郎 はクロネッカーに師事し、彼の主張を日本に広めた
  • ゲーデルコーディングは、記号を数といつかみ所のないところに移しているのであって、その逆ではない。
  • 前回のω無矛盾性と健全性の関係についての質問への回答
    • ω無矛盾 → Π3健全
    • ω無矛盾 /→ Σ3健全
  • コルモゴロフ複雑性
  • チャイティンの主張の問題点
    • 彼の不完全性定理は、定理の複雑さについては何も言っておらず、複雑さについての定理である。実際、「K(s)>n」の形の真なる言明はnより大きい複雑さをもつことは明らかであるが、その言明の証明不可能性の要因が、言明の複雑さであるとはいえない。
    • 定理が公理よりも大きい複雑さを持ちえる。例えば「すべての列xについて,x=x」を唯一の公理として持つ理論は非常に複雑性が低いが、この理論の定理の中にはどんな複雑な列sに対する「s = s」の形の言明もある。それゆえ定理の複雑性は非有界。
    • 決定不能な命題が必ずしも自己言及的言明の形式化である必要はないことを強調したことは重要であが、この点はディオファントス方程式の決定不能製によってもすでに十分例証されている。
  • チャイティンの主張: Ωの重要性
    • チャイティンは次のようにいう: オメガのビット並びは論理的に既約、つまりそれよりも単純な公理からは導くことはできない「原子的」な数学的事実、互いに関係を持たずいわば「理由なく真である」ような事実の無限列である。
    • しかし、「オメガのn番目のビットがiである」という言明は、自明でも明らかに真でもない。「より単純な公理から得られない」と主張する根拠も明らかではない。さらに、公理が定理より簡単でなくてはならないという見方は、チャイティンの別の考えに反する。
    • 絶対的な意味で、何が証明できるか否か、説明できるか否か、理由を与えられるか否かについて論ずる理論的な根拠はない。
  • パリス=ハーリントンの命題
    • 集合論のモデルの研究で巨大基数について研究していて、算術についても同じようなことがあるというのをパリスがみつけた。
    • ハーリントンがそれを組み合わせに結びつけた。
    • ラムゼイの定理をちょっと直してパリス=ハーリントンの命題が得られる。
  • ヘラクレスとヒドラの戦い
    • 上には伸びないで横に広がるだけ
    • 上の方を切って行けばそのうち退治できる
  • 超限順序数
    • 対数の目盛りにするようなもの
  • グッドスタイン列
  • ゲンツェンが自然数論の無矛盾性を証明したのもε0までの超限帰納法を使って
  • 急増加関数fα
    • リカージョンをα回繰り返して得られる関数
    • fωはだいたいアッケルマン関数
  • 次回予告: 2010年10月頃「不完全性定理 その後2 —モデル論的議論—」
Tags: logic

λ. CLTT読書会 第3回

というわけで、こっちには遅刻。 やっていたのは、 1.4 Cloven and split fibrations 。 定義1.4.8のUFam(ω-Sets)が圏になっていることを理解するのに、みんなちょっとつまずいていた。

二次会

Tags: 圏論