「会社の辞め方」で分かる活躍する人材の条件 http://president.jp/articles/-/20603 これは一理あるとは思うけど、ポジショントークな面が多分あって、一労働者の観点からすると片手落ちな感じで、読んでて色々とモヤモヤした。
「会社の経営状況が良くない時期に辞めるというのは、敵前逃亡のように受け取られます」という話だけど、いつ辞めても同じであれば「変革(再生)を見届けるまで残る」のはその人の美学で好きにすれば良いと思うけど、実際には生活があるしキャリア上でのタイミングもあるからこそ悩むのでは。 ヘッドハンターなら当然わかっていることだと思うけれど……
あと、有給消化の話は、まさに職業観の違いだろうけど、個人的感覚ではむしろちゃんと消化して貸し借りがない状態にすることが「立つ鳥跡を濁さず」ということなのではと感じる。
教育投資の恩があるのは事実だし、代替の人の採用などもろもろで1千万円くらいのコストが発生するという話もあって、迷惑をかけてしまうのは事実だけど、それを相殺するために有給を消化しないというのは、迷惑をかけるから給料を一部返上すると言っているようなもの(有給休暇を取得する前提での諸労働条件に対して給与が決まっているわけで)で、「江戸の敵を長崎で討つ」的な筋違いな話に思える。
また、仁義という意味でも、同業者(同じ職種の他の労働者)からすれば、有給休暇を取得しないというのは(労働条件の悪化につながる)労働力や専門知識のダンピングに他ならないし、それはそれで裏切り行為に思えるのよね。
あと、触れられていない話として、会社都合や定年退職扱いで辞めるのと比べて、自己都合だと退職金が大幅に減ることも多い(例えば500万から50万になるなど)ので、かける迷惑の一部は強制的に精算させられているとも言えると思う。
ただ、それでかける迷惑がすべて清算されているかというとそんなことはなく、その一方で会社側は教育投資の一部は確率的に無駄になることを承知のうえで、それでもプラスになるという経営判断で教育投資をしているはずでもあり……
結論はないけど、じゃあどうすれば良いのか、あるいはどうすれば労働者と会社は対等でフェアな関係を築けるのか、というのはなかなか難しくて、モヤモヤするのでした……
経営学とかで当然研究されてそうな話だけど。
会社にお金を使わせるとしてもそれは単に必要な経費で、そりゃ家賃でも税金でも仕入れのお金でも無くて済むなら会社は無い方がいいだろうけど、それらがあるから迷惑って事にはならないかと。
辞められる事まで含めて労働者を使うという事の費用でしょう。
ただ、一方で教育投資のコストがかかっているのは事実で、もし教育投資が全く回収できないというようなことになると、企業側は教育投資を全く行わないのが最適戦略となり、それはそれで労働者側と企業側の双方にとって不幸なのではないかという気はしています。
どんどん辞められちゃう会社は社員に対する投資がペイしないという事もあると思うけど、そういう会社が教育に投資しないのはまぁ仕方ないんじゃないですかね。
個人的にはその結果の行き着く均衡は社会にとっても社員にとっても悪くない気はします。会社にとっては悪いだろうけれど。
------------------根本(1999a)は、1998年に行われた、日米欧の研修費用の同一基準による調査結果を紹介している。この調査では、人材開発担当者の賃金も研修費として加えられている。一人当たり教育費は、日本が53,137円、日本の大企業(従業員3000人以上)で65,222円、米国が79,577円、欧州が106,071円であると報告している。1998年時点では、日本企業の研修費は欧米企業に比べ格段に低いことが分かる。また、研修費の給与支払額に対する比率も、欧州3%、米国1.8%、日本1%と少ない。研修を受講した従業員の比率は、米国75%、欧州74%、日本47%となっており、欧米企業では日本企業以上に幅広く教育訓練を実施している。