突如あらわれた島に出現した謎の少年。続けて出現する謎の巨大ロボット・タイタン。何かを知るらしい男たち。序盤は謎だらけで進みます。マーズが言葉をおぼえ、謎の男たちが前面に出てきて本格的に物語がはじまっても、まだ謎は全て明かされず、ガイアーの出現、六神体の出現など不可解な現象は続いていきます。
横山光輝の本格的なロボットものとしては最終作にあたると思われますが、謎だらけのストーリーで、明快なアクションではない(暗めのSFだった「ダイモス」なども、おおまかにいえば明快なアクションです)というのは最後の最後で異色作と言えます。また、この巻でも部分的に謎は判明していきますが、かなり凝ったSFになっており、そこも異色です。また、敵である六神体がパッと見はロボットではなく、シュールなアートのようなデザインであるのも、これまた異色。他のレビューでもエヴァンゲリオンに言及している方がいらっしゃいますが、それ以降の近年のアニメの敵キャラを思わせる、いま見ても斬新なデザインです。最初のタイタンがポセイドン的な奇をてらってないデザインなのが、逆に、六神体を際立たせています。
そして、ガイアーが、遠距離から多数の光子弾をバラ撒いたり、引力装置でひきつけて近距離で破砕する機能を持っていたり、ほぼ棒立ちで戦うというのも、やはり異色です。
横山ロボは、鉄人・サムソン・サンダーボーイは素手、ジャイアントロボは素手プラス火器、みどりの魔王・サンダー大王・ダイモスは神秘的な能力を持っている……という具合でしたが、いずれも激しくアクションを行います。ガイアーは神秘的な組を更に発展させたと言えるでしょうが、エスパー的な棒立ちでの超能力使用での戦いで、どれにも似ていません。エスパー的と書きましたが、考えてみると横山作品ではエスパーものでも激しいアクションがあるので、それとも似ていないのです。
このように異色要素だらけにしたというのは、決定版とは逆の方向で、横山先生としても一区切りつけようとしていたように感じてしまいます(この時点で最後にしようとは別に思ってなかったでしょうが)。
準主役的な記者や、親しくなりそうな(別にならない)少女の登場なども、後半のハードな展開を知ると、なんとなく物悲しいです。
異色要素や、六神体のデザインを見るだけでも価値のある作品です。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
マーズ 1 (秋田文庫 7-27) 文庫 – 2000/9/1
横山 光輝
(著)
横山 光輝 (著)
- 本の長さ357ページ
- 言語日本語
- 出版社秋田書店
- 発売日2000/9/1
- ISBN-104253175880
- ISBN-13978-4253175883
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 秋田書店 (2000/9/1)
- 発売日 : 2000/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 357ページ
- ISBN-10 : 4253175880
- ISBN-13 : 978-4253175883
- Amazon 売れ筋ランキング: - 923,796位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

1934年(昭和9年)6月18日、兵庫県神戸市須磨区生まれ。銀行員、映画興行会社などを経て、55年「音無しの剣」でデビュー。56年「鉄人28号」 の連載を開始、大人気となる。2001年1月に完結した「殷周伝説」が遺作となった。91年「三国志」で漫画家協会賞優秀賞、04年「全作品」で文部科学 大臣賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『横山光輝「三国志」大研究』(ISBN-10:4267018502)が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
11グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年1月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1巻P147 「マーズおまえは一体どこが狂っちまったんだ!!」
1巻P198 「平気でやったのじゃなく、その人たちが狂気じみてたのよ」
2巻P289 「まったく驚いたぜ!ここまで狂っているとは思わなかったぞ!!」
3巻P345 「おまえはそこまで狂ってたのか」
これが元々の台詞らしい。
宇宙人の目からだけでなく、人間の目から見ても人類は狂っているということが
表現された台詞なのに、見ての通りに変えられている。
2巻P289の変えられた台詞では、禿の人の表情の意味が全く違ってしまうし
ありえない改変だ。
他にも改変はあるらしく、秋田書店は出版業失格!
「狂っている」程度の表現もできない秋田書店の方が狂っている。
そもそも、改変すること自体がありえないのだが。
作品の精神とは対極にある出版社だ。
1巻P198 「平気でやったのじゃなく、その人たちが狂気じみてたのよ」
2巻P289 「まったく驚いたぜ!ここまで狂っているとは思わなかったぞ!!」
3巻P345 「おまえはそこまで狂ってたのか」
これが元々の台詞らしい。
宇宙人の目からだけでなく、人間の目から見ても人類は狂っているということが
表現された台詞なのに、見ての通りに変えられている。
2巻P289の変えられた台詞では、禿の人の表情の意味が全く違ってしまうし
ありえない改変だ。
他にも改変はあるらしく、秋田書店は出版業失格!
「狂っている」程度の表現もできない秋田書店の方が狂っている。
そもそも、改変すること自体がありえないのだが。
作品の精神とは対極にある出版社だ。
2009年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
横山光輝らしく「起承転結」の構成がしっかりしており、中編として長くもなく短くもなくまとまっていて読み応えがあります。
どこかのアフォーが核心をネタばれしていますが、不必要にググらずに読んでほしい作品です。
私のお気に入りポイントは、実はストーリーより横山先生の描くロボットの独特なデザイン。最近はゴチャゴチャしたものが流行りのようですが、まるでザクのようにシンプルなのにいい味を出してます(そのうち何体かはOVAジャイアントロボにカメオ出演?しています)。
ちなみに、敵ロボット群「六神体」はコンセプト的に「エヴァ」の使徒に影響を与えているように思えます。庵野さんも本作に夢中になったファンの一人かな(笑)
どこかのアフォーが核心をネタばれしていますが、不必要にググらずに読んでほしい作品です。
私のお気に入りポイントは、実はストーリーより横山先生の描くロボットの独特なデザイン。最近はゴチャゴチャしたものが流行りのようですが、まるでザクのようにシンプルなのにいい味を出してます(そのうち何体かはOVAジャイアントロボにカメオ出演?しています)。
ちなみに、敵ロボット群「六神体」はコンセプト的に「エヴァ」の使徒に影響を与えているように思えます。庵野さんも本作に夢中になったファンの一人かな(笑)
2012年7月25日に日本でレビュー済み
物語の設定が実に壮大です。
地球史の中に組み込まれた安全装置が地球異変で100年前倒しで動き始めました。
それと同時に地球各所の埋め込まれた6神体が活動を開始します。
安全装置とは、地球に住む人間が余りに好戦的であったので、一定の水準を超えた時地球を滅ぼす仕組みのことです。
何かの手違いで動き始めたのか、それとも地球を破壊する必要が出てきたのか。
『マーズ』は、この地球破壊装置のキーになっている存在を示しています。
表紙絵の少年がマーズです。
彼は地球を破壊することもできますし、できない場合は、彼を殺せば自動的に地球が破壊される仕組みになっています。
マーズは制限時間までに地球を破壊しませんでした。
彼が何を考えたのか、これから明らかにされてゆくことでしょう。
スケールの大きなSF作品です。
地球史の中に組み込まれた安全装置が地球異変で100年前倒しで動き始めました。
それと同時に地球各所の埋め込まれた6神体が活動を開始します。
安全装置とは、地球に住む人間が余りに好戦的であったので、一定の水準を超えた時地球を滅ぼす仕組みのことです。
何かの手違いで動き始めたのか、それとも地球を破壊する必要が出てきたのか。
『マーズ』は、この地球破壊装置のキーになっている存在を示しています。
表紙絵の少年がマーズです。
彼は地球を破壊することもできますし、できない場合は、彼を殺せば自動的に地球が破壊される仕組みになっています。
マーズは制限時間までに地球を破壊しませんでした。
彼が何を考えたのか、これから明らかにされてゆくことでしょう。
スケールの大きなSF作品です。
2013年6月16日に日本でレビュー済み
知人に薦められて読んだのですが、いい意味で非常に重い作品だと感じました。
横山光輝先生は色々な名作で知られてますが、その中で、この「マーズ」は比較的知名度が低いのでないでしょうか?しかし、この作品は、横山作品の中でも1・2を争う傑作だと思います。
私も読み始めて一気に全3巻を読み終えました。
ラストの衝撃的な展開は2013年の現在の目から見ても非常にすごいです。「デビルマン」などもそうですが、昔のマンガには内容が非常に重い、単純な勧善懲悪では済まされない作品がありますが、これもその一つかと。
個人的には敵の六神体のデザインが好きです。ほとんどの神体が人間型をしてないし、デザインが非常に個性的です。六神体はマーズの敵ですが、あまり「怖い」という感じはなく、中にはコミカルな物もあります。それが容赦なく人類やマーズに対して牙を剥きます。
読者としては、次はどんなデザインの神体が出現するかを考えてしまいます。
他のレビュアーの方が、本作が「エヴァ」に影響を与えたと書いてありますが、私は「魔法少女まどか☆マギカ」が本作の影響を受けているように感じました。敵の魔女のデザインが非常に個性的だとか、魔女が各個に出現しては魔法少女に倒されていく展開とか、ダークでシリアスな展開だとか。最後の衝撃的な展開もなんとなく。
両作品ともこの「マーズ」が元ネタの可能性もあります。
横山光輝先生は色々な名作で知られてますが、その中で、この「マーズ」は比較的知名度が低いのでないでしょうか?しかし、この作品は、横山作品の中でも1・2を争う傑作だと思います。
私も読み始めて一気に全3巻を読み終えました。
ラストの衝撃的な展開は2013年の現在の目から見ても非常にすごいです。「デビルマン」などもそうですが、昔のマンガには内容が非常に重い、単純な勧善懲悪では済まされない作品がありますが、これもその一つかと。
個人的には敵の六神体のデザインが好きです。ほとんどの神体が人間型をしてないし、デザインが非常に個性的です。六神体はマーズの敵ですが、あまり「怖い」という感じはなく、中にはコミカルな物もあります。それが容赦なく人類やマーズに対して牙を剥きます。
読者としては、次はどんなデザインの神体が出現するかを考えてしまいます。
他のレビュアーの方が、本作が「エヴァ」に影響を与えたと書いてありますが、私は「魔法少女まどか☆マギカ」が本作の影響を受けているように感じました。敵の魔女のデザインが非常に個性的だとか、魔女が各個に出現しては魔法少女に倒されていく展開とか、ダークでシリアスな展開だとか。最後の衝撃的な展開もなんとなく。
両作品ともこの「マーズ」が元ネタの可能性もあります。
2011年11月16日に日本でレビュー済み
興味を抱き読んでみたのですが、想像以上に面白かったです。人類の生殺与奪の権利とその実行の可否の判定という、皮肉にして重大な運命を背負ったマーズ、その葛藤と問い掛けは読み手の心にとぐいぐい突き刺さるものがあります。本当に人類はこの先も生きていてよい存在なのか、そうしたことを――。
しかし横山先生、随分と容赦無い姿勢でもってこの作品を描かれたのだろうなあ、というのが読んでいて肌で感じられます。人類の愚かさ、残酷さ、それとしかし相反する家庭での優しさなどの事柄を、作中でこれでもかと克明に描いていますから。メカなどの描写も面白く、先が本当に気になります。
しかし横山先生、随分と容赦無い姿勢でもってこの作品を描かれたのだろうなあ、というのが読んでいて肌で感じられます。人類の愚かさ、残酷さ、それとしかし相反する家庭での優しさなどの事柄を、作中でこれでもかと克明に描いていますから。メカなどの描写も面白く、先が本当に気になります。
2012年4月5日に日本でレビュー済み
本屋で全3巻をまとめて購入。ぐいぐいと話の中に引っ張り込んでいく力があって一気に読んでしまいました。
同じ人間(?)から何度も警告を受けながらも人類を守るマーズ。しかし最後に見せた人間の醜い部分を見たマーズが選んだ選択には背筋が震えました。
横山光輝といえば水滸伝や三国志、鉄人28号が有名だけど本作はそれらに負けない面白さです。未読の方にはぜひ読んでいただきたいです。
同じ人間(?)から何度も警告を受けながらも人類を守るマーズ。しかし最後に見せた人間の醜い部分を見たマーズが選んだ選択には背筋が震えました。
横山光輝といえば水滸伝や三国志、鉄人28号が有名だけど本作はそれらに負けない面白さです。未読の方にはぜひ読んでいただきたいです。
2004年8月6日に日本でレビュー済み
ストーリーの冒頭はどこか同じ横山氏の「バビル2世」に通じるものがある。
でも、ストーリー展開の緊迫感は違う。個人的には「バビル2世」はどこと
なく「無理やり続けた」感があるのだが、本作品は終局に向けて一直線に突
き進んでいく。その展開は潔いほどだ。
60年代から70年代にかけてのマンガはメッセージ性が強いものが多い。本作
のメッセージは、その終焉の衝撃もあり、強烈なものだ。
是非、その終焉を読んで確かめてほしい。
でも、ストーリー展開の緊迫感は違う。個人的には「バビル2世」はどこと
なく「無理やり続けた」感があるのだが、本作品は終局に向けて一直線に突
き進んでいく。その展開は潔いほどだ。
60年代から70年代にかけてのマンガはメッセージ性が強いものが多い。本作
のメッセージは、その終焉の衝撃もあり、強烈なものだ。
是非、その終焉を読んで確かめてほしい。